こんにちは。
今回は、前回の続きになりますが、
・聴覚障がいの方の日本語のリテラシー
・具体的なコミュニケーション手段
について、書いていきます。
聴覚障がいの方の日本語のリテラシー
聴覚障がいの方との筆談は、場合によっては伝わらない。ということは前回の記事で書きました。
そもそも、聞こえる者(以下、聴者)も聴覚障害者も同じ日本人なのに、なぜ日本語で書いて伝わらないのかということですが、それはその方の失聴したタイミングや生育歴が大きく影響しています。
聴覚障害者の3分類
聴覚障害者は、主に「ろう者」「難聴者」「中途失聴者」に分けられます。
「ろう者」は、生まれながら聞こえない、音声言語獲得以前に失聴し、主に手話を母語とする方
「難聴者」は、以前は聞こえていたが聴力が落ち、残存聴力を使い、主に日本語を母語とする方
「中途失聴者」は、病気や事故等が原因で聴力を失い、主に日本語を母語とする方
母語が何か、というところから筆談の向き不向きが見えてくると思います。
つまり、日本語を聞いて育った環境にない「ろう者」の場合は、音声言語の日本語よりも視覚言語の手話が優位になり、母語になっていきます。このため、筆談(日本語)の苦手な方が多い傾向にあります。
「難聴者」や「中途失聴者」は、日本語が母語の方が多いので、筆談もできる方が多いでしょう。
もちろん、「ろう者」でも日本語のリテラシーが非常に高く、筆談OK!!の方もいれば、「難聴者・中途失聴者」でも手話が母語という方もいます。上の分類は、参考程度にしていただき、「何者」で「母語は何か」などは、アイデンティティーに関わることなので、その方の考え方を尊重するべきだと思います。
具体的なコミュニケーション手段
①の理由から、職場においても最善のコミュニケーション手段は変わってきます。
「ろう者」は、やはり手話です。しかし、なかなか手話ができる職員を配置するのは難しいことだと思います。このため、筆談はある程度やむを得ないと思うのですが、書き方を工夫してみてほしいと思います。
・日本語的な言い回し、回りくどい書き方はしない。
・長文にせず、箇条書きにして簡素にする。
・◯やX、矢印などの記号を用いて図解する。
例えば、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、皆さんには、明日の出勤はいつもより30分早めに始業、その分終業も早めでお願いしています。Aさんもできたらそうしてほしいのですが。
↓
新型コロナウイルスのため、明日だけ出勤時間の変更をお願いしたい。
9時〜6時X → 8時30分〜5時30分◯
大丈夫ですか?
「難聴者・中途失聴者」は、筆談で大丈夫かと思います。が、やはり聴覚からの情報が少ないため、書いた文章だけで理解できる内容になっているか、書き方には注意してみてほしいと思います。
まとめ
聴覚障害者といっても、3つに分類されるます。
その違いから、母語も異なり、コミュニケーションの手段も変わってきます。
次回は、より具体的なコミュニケーション手段を書いてみたいと思います。
よろしくお願いします。
通訳男士
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