ろう文化とは?コミュニケーションの違い

日本の文化の中に、聴覚障害の方、特にろう者が営む文化があります。

ろう者の文化を知らないと、いろいろなところで誤解が生じてしまうこともあります。


前回、ろう者は基本的には文字通り、という内容を書きました。

その理由のひとつを考えてみます。 



言語が違えば文化も違う

基本的には文字通り。

これは特に、日本手話を母語とするろう者によくあります。というのもきちんと理由があります。


日本手話は日本語とは異なる言語です。

このため、言語と表裏一体とされている文化もまた異なっています



ろう者の文化

日本手話の話者であるろう者の文化なので、ろう文化と呼ばれています。

日本語の話者との違いは、コミュニケーションにも表れます。


ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化

非常に簡単に言えば、テクスト(文章)に包含されるコンテクスト(背景情報)が多い言語か、少ない言語かということです。


日本語は、ハイコンテクスト文化

たとえば、自分が休みの日に仕事帰りの妻や夫から、

「今日、一日何してたの?」 

と聞かれたら、どうでしょうか。 


やばい…、怒ってる?掃除してないから?洗濯物たたんでないから?皿洗ってないから? 

と思ったことはないでしょうか。


「今日、一日何してたの?」というテクストに、(何もしてくれてないじゃん、は?)という話し手の何かしらの意図が包含されているということです。


このように、日本語は、聞き手が意図を組むことが期待されているので、察する文化です。 


日本手話は、ローコンテクスト文化

同じ状況で、

「今日、一日何してたの?」は、それ以下でもそれ以上でもありません。

話し手の意図は特になく、純粋に何をしたのか聞きたいだけでしょう。


もし、(何もしてくれてないじゃん、は?)の部分を伝えたいなら、

「掃除も洗濯も皿洗いもしてないじゃん、今日、1日何してたの?」と、直接言うでしょう


日本手話は、話し手がきちんと言語化して意図が伝わっているか確かめるので、確認の文化です。

(空気を読まずズバズバ言う奴ではなく、そういうコミュニケーションの文化です) 



同じ日本人だけど異文化

ろう文化の一例として、言語面での違いをご紹介しました。

圧倒的に聴者が多いため、我々の常識の範囲外のことが起きると、非常識だなと思うかもしれません。


そこは、そうではなく、もしかしたら文化の違いかも?と思ってほしいです。

このほか、聴者の文化とは全然違うことは、多々ありますので、別の機会で書けたらとおもいます。 



まとめ

聴者とろう者では文化が違います。

日本語はハイコンテクスト文化、日本手話はローコンテクスト文化です。

日本語は察する文化、日本手話は確認の文化です。


よろしくお願いします。


通訳男士

通訳男士の旅 〜聴覚障害者と仕事〜

手話通訳者の視点から、聴覚障害者と仕事、雇用に必要なことは何かを考えます。

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